松尾芭蕉
人々の集いの中で成り立ってきた俳諧。時と所を異にしても響き合う心情を「座」という視点からとらえ、芭蕉の発句の魅力の源泉をたずねる。
- シリーズ:ちくま文庫
- 530円(税込)
- Cコード:0195
- 整理番号:お-13-1
- 刊行日:
1989/08/29
※発売日は地域・書店によって
前後する場合があります - 判型:文庫判
- ページ数:272
- ISBN:4-480-02336-4
- JANコード:9784480023360
- 在庫 ×
俳諧は、人びとの集いのなかで成り立って来た文芸である。より深い俳句の鑑賞のためには、「座」をなした人びとと読み手の心情が、たとえ時と所をへだててはいても、ひびき合うことが大切だ。この本は、芭蕉の発句の中の、時代・社会・文化のまじわるところに注目しながら、その魅力の源泉をとき明かす。
冬の部(旅人とわが名呼ばれん
草枕犬も
しぐるるや田の木枯や頬腫痛む
乾鮭も空也の ほか)
夏の部(馬ぼくぼく
団扇とつてあふがん
蛸壷やはかなき夢を
田一枚植ゑて
閑かさや岩に ほか)
秋の部(芭蕉野分して
野ざらしを心に
道のべの木槿は
送られつ送りつ
文月や六日も ほか)
春の部(薦を着てたれびと
木曾の情雪や
山里は万歳遅し
春なれや名もなき山
水取りや氷の僧の ほか)
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