日本人は「やさしい」のか
「やさしい」とはどういうことなのか? 手垢のついた�オ�オ「やさし」を万葉集の時代から現代に至るまで再度検証しなおし、思想的に蘇らせようと試みた渾身の一冊。
高度成長が終わった七四年以降、「やさしさ」という言葉が巷に氾濫し出した。いまとなってはうそくさくふやけたイメージしかもたないように見える「やさし」は、しかし、万葉集の時代から現代に至るまで、倫理的、美的に重要な場面で繰り返し使われてきた言葉である。手垢のついた「やさし」を、もう一度現在において、および歴史的に検証しなおし、現代に生きる倫理として思想的に蘇らせようと試みた渾身の一冊。
第1章 「やさしさ」の現在(「やさしさ」の現状分析
傷つくことと「やさしさ」
尾崎豊・太宰治の「やさしさ」)
第2章 「やさし」の精神史(羞恥としての「やさし」
美的理念としての「やさし」
当座の倫理としての「やさし」
「情け深さ」としての「やさし」)
第3章 「やさしさ」の倫理学(「やさしさ」の自他認識
共感としての「やさしさ」
原質としての「やさしさ」
無常と「やさしさ」)
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