「奥の細道」をよむ
「かるみ」という境涯。
流転してやまない人の世の苦しみ。それをどう受け容れるのか。芭蕉は旅にその答えを見出した。芭蕉が得た大いなる境涯とは――。全行程を追体験しながら読み解く。
芭蕉にとって、『おくのほそ道』とはなんだったのか。六百里、百五十日に及ぶ旅程は歌仙の面影を移す四つの主題に分けられる。出立から那須野までの禊、白河の関を過ぎてみちのくを辿る歌枕巡礼、奥羽山脈を越え日本海沿岸で得た宇宙への感応、さまざまな別れを経て大垣に至る浮世帰り。そして芭蕉は大いなる人生観と出遭う。すなわち、不易流行とかるみ。流転してやまない人の世の苦しみをどのように受け容れるのか。全行程を追体験しながら、その深層を読み解く。
第1章 「かるみ」の発見
第2章 なぜ旅に出たか
第3章 『おくのほそ道』の構造
第4章 旅の禊―深川から蘆野まで
第5章 歌枕巡礼―白河の関から平泉まで
第6章 太陽と月―尿前の関から越後まで
第7章 浮世帰り―市振の関から大垣まで
エピローグ―その後の芭蕉
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