知の構築とその呪縛
西欧近代の科学革命を精査することによって、二元論による世界の死物化という近代科学の陥穽を克服する方途を探る。
【解説: 野家啓一 】
16世紀に始まった科学革命は、世界を数量的に表現しようとする考え方をもたらした。けれども、それによって「心」に帰属するものが排除され、自然と人間の分離、主観と客観の対立が生じることになった。常識が科学へ展開していく不可逆的な過程で、何が生じたのだろうか。近代以降の科学史的事実を精査し、人間と自然との一体性を回復する方途をさぐる。
1 概説的序論
2 略画的世界観
3 日本における略画世界
4 西欧古代中世における略画的世界観
5 略画の密画化、その始まり
6 略画の密画化、不可避の過程
7 密画化と数量化
8 密画の陥穽―物の死物化
9 感覚的性質のストリップ
10 二元論の構造的欠陥
11 二元論批判
12 原子論による密画描写
13 人体の密画描写と知覚因果説
14 物と感覚の一心同体性
15 自然の再活性化
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