天国と地獄 ─ジャック・オッフェンバックと同時代のパリ
ブルジョア社会の虚栄の市、ナポレオン三世の成金宮廷、万博の賑わい――一九世紀パリを彩るオペレッタの世界を中心に描く、「都市の伝記」。
19世紀のパリは現代社会の先触れである。共和国と独裁制、革命、世界経済、万国博覧会、根なし草になった人びと。第二帝政期の娯楽の王といわれたオペレッタは、市民が公共生活から遠ざかり、私的生活に引き籠るこの社会の浮薄な陶酔状態を、その生きた形姿においてもっともよく捉えた。成り上がり者ルイ・ナポレオンの第二帝政と興隆をともにしたオペレッタの創始者オッフェンバックの伝記を通して、パリの生活を記述する都市の伝記。
プロローグ 時代の真只中に立つジャック
七月王政の黄昏―雌伏するジャック
第二帝政のオペレッタ世界―雄飛するジャック
第三共和政の白けた日々―生き残るジャック
エピローグ ラテルナ・マギカ―すべては過ぎ行く
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