パルチザンの理論 ─政治的なものの概念についての中間所見
2008年春、復刊。
二〇世紀の戦争を特徴づける「絶対的な敵」殲滅の思想の端緒を、レーニン・毛沢東らの《パルチザン》戦争という形態のなかに見出した画期的論考。
王朝間の戦争を、傭兵を用い、「在来的な敵」を相手どって行なうゲームとすれば、ナポレオン軍に対抗したスペインのパルチザンは、史上初めて相手を、自らの実存を脅かす「現実の敵」と認識した。19世紀までのヨーロッパ公法は、主権国家と「正しい敵」(この「在来的な敵」と「現実の敵」)概念によって秩序づけられていた。20世紀はこの崩壊を目の当たりにする。一方、19世紀初頭以来萌芽状態にあったパルチザンは、レーニンと毛沢東によって革命と戦争の主役に躍り出るとともに、敵概念にも決定的変化をもたらした。爾来、「絶対的な敵」殱滅への道程が用意される。『パルチザン』をキーに20世紀の経験の変容を叙述した、シュミット政治学の白眉。
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