「ヒューマニズム」について
『存在と時間』から二〇年、沈黙を破った哲学者の後期の思想の精髄。「人間」ではなく「存在の真理」の思索を促す、書簡体による存在論入門。
『存在と時間』(1927年)において、世界内存在する人間の実存を深く掘り下げ、これを現象学的解釈学的に精緻に分析して、哲学界に深刻な衝撃を与えたハイデッガー。そのハイデッガーが、第二次世界大戦を挟む長い沈黙を破り、書簡体の形式で世に問うたのが、この「『ヒューマニズム』について」(1947年)だった。いわゆる人間中心主義の「ヒューマニズム」を批判しながら「存在の思索」を説くこの小さな本には、後期ハイデッガーの思想が凝縮した形で表明されている。「故郷喪失」の現代の「世界の運命」のなかで、私たちは存在の「開けた明るみ」の場のうちに「住む」ことを学び直さねばならない、と。
1 凡例
2 本文―「ヒューマニズム」についてパリのジャン・ボーフレに宛てた書簡(存在の思索の提起
ヒューマニズムに関する批判的考察の開始
人間の本質の規定
存在の人間への関わり
故郷喪失の運命
ヒューマニズムの真の意味
存在の思索を非人間的とする誤解の反駁
論理学・価値・世界内存在・無神論・有神論に関する誤解の反駁
存在論・倫理学を超えてエートスの思索へ
存在論・倫理学を超えて存在の思索へ
存在の否む働きと無
存在の思索と言葉)
3 訳注
4 原文校訂注
5 解説
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