王の二つの身体 (下) ─中世政治神学研究
王朝、王冠、王の威厳。権力の自己荘厳のメカニズムを冷徹に分析する中世政治神学研究の金字塔。必読の問題作。全2巻。
有機体論が国王二体論へと移行するためには、時間観念の導入が要請される。王が団体の頭であるにせよ、団体そのものであることは含意しないし、また団体の永遠性を保証はしないからである。団体観念を時間的に構成することで初めて、連綿たる王朝が恒久的な団体として、王がその体現者、不死鳥にも似た単独法人として捉えられ、ここに、個々の王の自然的身体からは独立した、非人格的な政治的身体が秩序の基盤となる近代国家が生まれる。王権の擬制的性格を克明に跡づける著者の筆は、ダンテ『神曲』の分析に至って、処女作に見える理想的支配者への憧憬を漂わせながら、円環を閉じる。全二巻。
第6章 連続性と団体(連続性
真理の似姿としての擬制)
第7章 王は死なず(王朝の連続性
擬制としての王冠 ほか)
第8章 人間を中心とする王権―ダンテ
第9章 エピローグ
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