差別の民俗学
人間存在の病巣〈差別〉。実地調査を通して、その実態・深層構造を詳らかにし、根源的解消を企図した赤松民俗学のひとつの到達点。
【解説: 赤坂憲雄 】
「柳田民俗学の最大の欠陥は、差別や階層の存在をみとめないことだ。いつの時代であろうと差別や階層があるかぎり、差別される側と差別する側、貧しい者と富める者とが、同じ風俗習慣をもっているはずがない。」すべての底辺、すべての下層からその民俗を掘り起こし、人間存在の根源的病巣「差別」の起源と深層構造に迫った、民俗学の巨人・赤松啓介のひとつの到達点。人間解放の原理、平等原理に貫かれた著者のまなざしは、限りなくあたたかい。
人間差別の回想―スジを中心にして(重層的差別構造
基層にある差別観念
複雑な被差別部落の起源 ほか)
もぐらの嫁さがし―昔話の階級性(朝鮮民潭もぐらの嫁探し(中里龍雄)
もぐらの嫁さがし(南方熊楠)
「もぐらの嫁探し」に就て(栗山一夫) ほか)
村落社会の民俗と差別(民俗学の開発
調査の階層性
裏街道の民俗 ほか)
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