ことわざの論理
ことわざを見れば、人が見える
「隣の花は赤い」「急がばまわれ」……お馴染のことわざの語句や表現を味わい、あるいは英語の言い回しと比較し、日本語の心性を浮き彫りにする。
ことわざの世界は深い。同工異曲の「ことわざ」は外国にも多いし、しかもそれらのほとんどが庶民の知恵、語り伝えられた生活の英知だ。生半可な思想なんかに負けないしぶとさと、一見矛盾することをも呑み込んでしまう柔軟さがある。少しばかり言いにくいことを伝えるときや決定に迷ったとき、わたしたちはことわざの力を借りるではないか。「急がばまわれ」「目くそ、鼻くそを笑う」「人の噂も七十五日」…、おなじみのことわざを挙げ、語句の選びかたや表現を分析し、同意味の英語の言い回しと比較し、ことばに浮き彫りにされる人間の普遍的なこころをさぐる。
転石、苔を生ぜず
隣の花は赤い
夜目遠目傘の内
三尺下がって師の影を踏まず
急がばまわれ
船頭多くして船、山に登る
灯台もと暗し
娘は棚に上げ嫁は掃きだめからもらえ
鶏口となるも牛後となるなかれ
話半分腹八分〔ほか〕
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