見えない表象の変遷をたどる

西洋文化の豊饒なイメージの宝庫を自在に横切り、愛・言葉そして喪失の想像力が表象に与えた役割をたどる。21世紀を牽引する哲学者の博覧強記。

スタンツェ 
  • シリーズ:ちくま学芸文庫
  • 1,470円(税込)
  • Cコード:0170
  • 整理番号:ア-27-1
  • 刊行日: 2008/03/10
    ※発売日は地域・書店によって
    前後する場合があります
  • 判型:文庫判
  • ページ数:400
  • ISBN:978-4-480-09131-4
  • JANコード:9784480091314
ジョルジョ・アガンベン
ジョルジョ・アガンベン

アガンベン,ジョルジョ

1942年ローマに生まれる。ヴェローナ大学哲学教授を経て、現在、ヴェネツィア建築大学美学教授。主要著作に、本書のほか、『中味のない人間』(1970)、『スタンツェ』(1977)、『幼児期と歴史』(1978)、『到来する共同体』(1990)、『ホモ・サケル』(1995)、『アウシュヴィッツの残りのもの』(1998)、『残りの時』(2000)、『例外状態』(2003)、『思考の潜勢力』(2005)、『王国と栄光』(2007)、『言語の誓い』(2008)などがある。

岡田 温司
岡田 温司

オカダ アツシ

1954年生まれ。京都大学大学院博士課程修了。現在は京都大学大学院教授。専門は西洋美術史・思想史。主著に、『もうひとつのルネサンス』(1994)、『モランディとその時代』(2003、吉田秀和賞)、『マグダラのマリア』(2005)、『芸術と生政治』(2006)、『フロイトのイタリア』(2008、読売文学賞)など。訳書・共訳書に、アガンベン『スタンツェ』『中身のない人間』『開かれ』『イタリア的カテゴリー』など多数。

この本の内容

たとえば「メランコリー」。フロイトやラカンら近代の精神分析学により「対象」と「所有」の病理とされ研究対象となったこの病は、中世の修道士の無気力に発し、「狂気」「欲望」「並外れた詩人」という極端な矛盾を孕む黒胆汁の気質と考えられ、デューラーの作品に結晶する。中世の物語や恋愛詩、エンブレムや玩具、ダンディズムや精神分析、それらは言葉とイメージがつむぎ出した想像と忘却の変遷の保管庫=「スタンツェ」である。西洋文明における豊饒なイメージの宝庫を自在に横切り、欲望・感情・言葉のみならず欠乏・喪失が表象に与えてきた役割をたどる。21世紀を牽引する哲学者の博覧強記。

この本の目次

第1章 エロスの表象像(白昼のダイモン
メランコリア
メランコリックなエロス
失われた対象
エロスの表象像)
第2章 オドラデクの世界で―商品を前にした芸術作品(フロイト、あるいは不在の対象
マルクス、あるいは万国博覧会
ボードレール、あるいは絶対商品
洒落男ブランメル、あるいは非現実性の出現
マダム・パンクーク、あるいは玩具の妖精)
第3章 言葉と表象像―一三世紀の恋愛詩における表象像の理論(ナルキッソスとピュグマリオン
鏡の前のエロス
「想像の精気」
愛の精気たち
ナルキッソスとピュグマリオンの間
「終わりなき悦び」)
第4章 倒錯したイメージ―スフィンクスの観点から見た記号論(オイディプスとスフィンクス
固有のものと固有でないもの
壁と襞)

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