世紀末芸術
新しい美の饗宴
伝統芸術から現代芸術へ。19世紀末の芸術運動には既に抽象芸術や幻想世界の探求が萌芽していた。新時代への美の冒険を捉える。
【解説: 鶴岡真弓 】
メタモルフォーズする官能の女性像、流麗なアラベスク模様、象徴的な動植物モティーフ―。アールヌーヴォーやユーゲントシュティールなど「世紀末芸術」は、19世紀末、爛熟の極に達した西欧文化の中から、一斉に花ひらいた。混沌とした転換期の鋭敏な感受性が、華麗な装飾性や、幻想的な精神世界などを追求しはじめたのだ。そこにはすでに、抽象表現の台頭、諸芸術の綜合、芸術言語の国際化等、20世紀芸術にとって大きな意味をもつ諸問題が提起されていた。新時代への「美の冒険」でもあった芸術運動を、絵画や彫刻、建築、装飾、デザインの分野にわたって捉える。
序章 世紀末芸術とは何か(転換期の芸術
新しい芸術理念
頽廃と新生)
第2章 世紀末芸術の背景(社会的風土
機械文明の発達
ジャーナリズムの繁栄
遙かな国・遠い国)
第3章 世紀末芸術の特質(華麗な饗宴
魂の深淵
よく見る夢
音楽性と文学性)
第4章 世紀末芸術の美学(象徴主義
綜合主義
科学主義)
結び 二十世紀への道
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