日本の数学 西洋の数学
洋の東西を問わない
数学の本質とは
和算の特質とは何か。西洋数学との決定的なちがいとは何か。互いの形成の歴史をたどりながら、洋の東西を問わない数学の本質を洞察した名著。
「和算は専門ではないが必要ならそのうち紹介したい。そしてわれわれには見えぬ和算の側面を教えていただきたい」「そのお礼に、できればヨーロッパ数学の中で、みなさんに見えぬ側面を教えてさしあげたい。いずれにしても、自分の背中は見えぬものだから」パリでの学会発表における著者の結びのスピーチはたいそう受けたという。本書では二つの数学を歴史的にたどりつつ、円周率などをめぐる関孝和、建部賢弘、オイラー、ウォリスなどの原典を読み解き、そこに思想的文化的基盤の差異を洞察する。と同時に、洋の東西を問わない発見の喜びも透かし見えてくる。学問としての比較数学史をめざした定評の書。
1章 課題と展望(数学の何をどう比べるか
円周率をめぐる歴史の概要 ほか)
2章 西洋数学の源流(『原論』以前のギリシア数学
ユークリッドの『原論』 ほか)
3章 和算の形成とその性格(平安時代までの日本の数学
和算の源流―シナ数学の伝統 ほか)
4章 近世ヨーロッパの数学(西洋中世の意義―西洋近世数学の思想的背景
記号代数学への道 ほか)
5章 比較数学史について
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