反=日本語論
仏文学者の著者、フランス語を母国語とする夫人、日仏両語で育つ令息。三人が遭う言語的葛藤から見えてくるものとは?
【解説: シャンタル蓮實 】
フランス文学者の著者、フランス語を母国語とする夫人、日仏両語で育つ令息。そして三人が出会う言語的摩擦と葛藤のかずかず。著者はそこに、西欧と日本との比較文明論や、適度や均衡点などを見出そうとするのではない。言葉とともに生きることの息苦しさと苛立ちに対峙し、言語学論理を援用しつつ、深遠なる言葉の限界領域に直接的な眼差しを向ける。それは、「正しく美しい日本語」といった抽象的虚構を追い求める従来の「日本語論」に対して、根源的な意義申し立てを行うことでもある。
序章 パスカルにさからって
1 滑稽さの彼岸に(歓待の掟
人の名前について ほか)
2 「あなた」を読む(S/Zの悲劇
シルバーシートの青い鳥 ほか)
3 文字と革命(萌野と空蝉
海王星の不条理 ほか)
終章 わが生涯の輝ける日
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