女犯 ─聖の性
破戒の仏教史
妻帯・密通・強姦・男色。性行為を禁じられた出家者には常に大きな葛藤と規制、処罰、逸脱の歴史があった。僧の性と破戒の全貌に迫る貴重な研究。
「女犯」とは、性行為を絶たねばならない仏教の出家者が、戒律を破り女性と性的関係を持つことをいう。日本で、僧侶における性と犯罪と刑罰はどのような変遷を辿ってきたのだろうか。そこには表向きの戒律からは見えてこない、どろどろとした現実の歴史があった。受戒制度の確立以後、国家法、武家法などによって厳罰・極刑が科されても、絶えることなく起こりつづけた女犯。古代・中世・近世におよぶ膨大な史料を丹念に読み解き、妻帯・密通・強姦・男色など女犯の全貌を初めて実証的に解明、出家の世界の人間的な苦悩を見据えて、禁じられた性愛の真相に迫る、類稀なる仏教史。
第1章 性の戒め(出家のはじめ
「僧尼令」と性 ほか)
第2章 古代における僧の女犯(戒律における婬欲の規制と罰則
梵網戒の規制 ほか)
第3章 中世における僧の女犯(戒律復興のきざし
律学の研鑽 ほか)
第4章 近世における僧の女犯(多彩な律宗の再興
法度などによる規制 ほか)
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