維新の夢 ─渡辺京二コレクション1 史論
日本近代の闇を逆照射
半世紀の仕事のエッセンスを集成。1では近代主義と対峙した稀有な思想家・北一輝と宮崎滔天を中心に、日本近代の逆説の構造に迫る。
【解説: 三浦小太郎 】
『逝きし世の面影』の著者渡辺京二は、日本近代史の考察に、生活民の意識を対置し、一石を投じてきた思想家である。その眼差しは表層のジャーナリズムが消費する言説の対極にある。本巻には、西欧的な市民社会の論理では割り切ることのできない、大衆の生活意識にわだかまる「ナショナル」なものを追求した「ナショナリズムの暗底」、明治国家への最大の抵抗者としての西郷隆盛を常識的定説から救抜する「逆説としての明治十年戦争」、北一輝と日本近代の基本的逆説の関連を問う「北一輝問題」など、日本近代史を根底から捉え返すことを試みた論考を集成する。
ナショナリズムの暗底
近代天皇制の神話
戦争と基層民―天皇制国家の円環
風土と反権力
北一輝問題
北一輝とアジア的共同主義
岡倉天心とその「アジア」
石光真清とその異郷
権藤成卿における社稷と国家
二・二六叛乱覚え書
カオスとしての維新
小楠の道義国家像
逆説としての明治十年戦争
異界の人―西郷隆盛の生と死
死者の国からの革命家
西南戦争とはなにか
人民抵抗権の狂熱―熊本協同隊
協同隊と中津隊
『翔ぶが如く』雑感
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