現人神の創作者たち(下)
日本的原理主義の起源!
戦前の「呪縛」は解かれたか
将軍から天皇への権力の平和的移行を可能にしたのは、水戸学の視点からの歴史の見直しだった。その過程を問題史的に検討する。
【解説: 高澤秀次 】
徳川幕府から天皇への平和的な「大政奉還」は世界史的に珍しい現象である。その原動力となったのは「慕夏思想」から転じた朱子学的理想主義だった。二重の「回心」はどのように進められたのか。下巻では、山崎闇斎と「崎門三傑」の理論を震源とした、幕末の歴史の見直し運動の特徴と影響を問題史的に検討し、そのプロセスを明らかにする。
歴史への「共鳴・掘り起し現象」
聖人から極悪人へ
「輸入史観」適用の無理
源義朝は大悪人か
自ら権力を放棄した朝廷
「華」を目指す「夷」の優等生
歴史の過ちを正すという発想―大政奉還の預言
失徳・無能の天子・後醍醐天皇批判
天皇批判の逆効果
応用問題としての赤穂浪士論
現人神の育成者へ、そして明治維新へ
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